2010年8月アーカイブ

テクニカルコミュニケーションシンポジウムで,特別セッション「文章表現の基本をマスターする」を担当しました.このセッションを担当するのは4回目です.セッションの概要はこちらテキストスライド

受講いただいた皆さん,ありがとうございました.とても熱心,かつ和やかな雰囲気だったので,私自身とても楽しく進めることができました.

セッションでいただいた質問です.セッション後に直接いただいた質問もあります.

1)悪い文章例と良い文章例を見せるだけで書けるようになりますか?

文章例を見ただけで書けるようになる人もいますが,書けない人もいます.文章例の違いは理解できるけれど,自分でやろうとするとうまくできないようです.そういう人は,書くプロセスに問題があるのかなと思います.

文章は,いきなりワープロに向かって書き始めるものではありません.情報収集(INPUT)→情報整理→文章化(OUTPUT)というプロセスを踏みます.わかりやすい文章を書くには,情報整理が不可欠です.収集した情報を整理分類し,情報同士の関連を見出します.そこから,読み手や目的に合わせて,書くべき情報を決め,順番を決めます.

文章例を見ただけではうまく書けないというときは,このプロセスをシミュレーションしてみせ,実際にやってもらっています.

2)部下の文章のどこが悪いのか,なぜ悪いのかを論理的に説明するのが難しい.つい自分で修正してしまう.それだといつまでも書けるようにならない.どう指導すればいいのか?

自分で説明しないことです.書き手(この場合は部下)に説明させるのです.たとえば,

  • だれに何を伝えるために書いたの?
  • どうしてそういうふうに書いたの?
  • これを読んだユーザーはどう理解すると思う?

これらの質問に対して答えるには,文章について自覚的に考えなければなりません.上司に説明するうちに,自分の文章の問題にハッと気づく場合もあります.気づかないようならば,さらに質問したり,指摘したりします.

  • それを伝えたいんだね.で,それはどこに書いてあるの?
  • ユーザーにそう理解してほしいんだね.でも,こういうふうに理解するユーザーもいるんじゃないの?

赤入れすると,その文章は良くなりますが,書き手はあまり育ちません.きっと赤入れされたとおりに修正するだけで,「なぜ?」を考えないからでしょうね.書き手に考えさせ,自ら気づかせるのが大切だと思います.

3)新人テクニカルライターにアドバイスを!

う~~ん,私自身は,身の回りのマニュアル,説明文をよく読むようにしています.購入した電化製品のマニュアル,カップラーメン等のパッケージに書かれている<作り方>,さまざまな手続きを書いた,お役所等からのお知らせなど,私たちの身の回りには説明文がたくさんあります.

そのような説明文を読みながら,「情報が整理されていないなぁ」とか,「わかりにくいレイアウトだなぁ」とか「自分ならどう書くかなぁ」などと考えています.自分の領域とは違う分野の説明文が,けっこう参考になることもあります.