2010年12月アーカイブ

12月18日,日本教育工学会の研究会が大分大学でありました.「ピアに対する指向性・満足度・文章自信度の相互影響関係の分析」というテーマで発表しました.

ピアは学習者の文章力の向上に効果があるとよく言われます.しかし,すべての学習者にピアが向いているのでしょうか? 「話すのが苦手」「自分の文章を他の人に見せるのはイヤ」という人だっているはずです.

そこで,どのような学習者がピアに向いているのか,あるいは向いていないのかを質問紙を使って調査しました.手順は以下のとおりでした.

  1. ピアに対する指向性を測るための質問紙を作成する.
  2. 文章表現授業でピアを行い,その学習者に対してピア指向性質問紙を用いてパネル調査を行う.調査時期は,初回教室授業の開始前と最終教室授業の終了時である.
  3. 探索的因子分析により,ピア指向性の因子を抽出する.
  4. 確認的因子分析により,ピア指向性の因子構造の適合性を確認する.
  5. 交差遅延効果モデルを用い,ピア指向性・ピア満足度・文章自信度の相互影響関係を分析する.

確認的因子分析の結果,3つの因子が抽出されました.

因子1:意見歓迎指向
ピアで自分の文章について意見をもらえることが役立つと感じ,さまざまな意見を受け入れようとする.

因子2:高能力要求指向
ピアのメンバーの能力に関する指向.文章作成力が低い人からの意見は役に立たない,文章作成力の高い人とピアをしたい.

因子3:フレンドリー指向
メンバーとの出会いや楽しい会話を重視している.意見交換や文章作成力の向上には関心がない.

交差遅延効果モデルを用い,ピア指向性・ピア満足度・文章自信度の相互影響関係を分析した結果,以下のことがわかりました.

  • 意見歓迎指向が強い学習者は,ピアでメンバーから意見をもらえたことにより,文章得意度とピア満足度が高まった.意見歓迎指向の強い学習者は,ピアに向いている.
  • 高能力要求指向が強い学習者は,ピアでメンバーから意見をもらえたことにより,文章力の低いメンバーからの意見も役立つと感じ,受け入れられるようになった.
  • フレンドリー指向は,文章得意度もピア満足度にも影響を与えなかった.フレンドリー指向の強い学習者はピアに向いていない.

「先生,楽しかったです~~」とうれしそうに帰る学生がたまにいます.もしかしたら,フレンドリー指向なのかも.楽しいだけであまり学習していないということもありえるのだと思います.

 

12月4日,BEATSeminar(東京大学大学院情報学環ベネッセ先端教育技術学講座)の第3回公開研究会「書く力を育てる大学教育」に登壇しました.

私にいただいたお題は「テクニカルライティングとライティング教育」でした.以下の内容を話しました.詳細は研究会レポートをご覧ください.

  • テクニカルライティングとは?
  • 文教大学「テクニカルライティング」
  • 早稲田大学「学術的文章の作成」
  • 早稲田大学ライティング・センター