2015年2月アーカイブ

九州大学で行われた日本教育工学会研究会で、「詳細化アウトラインを用いた文章表現授業の実践」(冨永敦子,大塚裕子,椿本弥生)を発表しました。

詳細化アウトラインとは、表計算ソフトを用いて、文章に含める内容を網羅的・構造的に整理したものです。自然言語研究者の藤田篤先生が開発しました。

藤田篤先生の論文・詳細化アウトラインの資料類はこちら

文章作成に関する書籍では、マップ→アウトライン→文章化という作成手順がよく紹介されています。が、実際にやろうとすると、そう簡単にはいかないようです。その理由としては......

  • マップ上でキーワードを四方八方に広げたものの、キーワード同士がどのような関係になるのかを示していない。そのため、アウトラインでどのような順番でキーワードを並べていけばよいのかがわからない。

  • 関係性の見えない、単なるキーワードの羅列のアウトラインだと、文章化する際に中身を考えなければならない。文章を作りながら、新しい事柄を追加したり、順番を入れ替えたりするため、構造が不適切な文章になってしまう。

このような問題を解決するために考案されたのが詳細化アウトラインです。冨永ほか(2014)では、大学初年次を対象とした文章表現授業に詳細化アウトラインを導入しました。

詳細化アウトラインの例
スライド18.JPGスライド19.JPG
授業終了後、受講者306人にアンケートを行いました(有効回答199人、回答率65.0%)。レポート執筆の際、詳細化アウトラインが役立ったかどうかを5段階で質問したところ、平均3.64(SD=1.23)でした。平均値だけをみると、まあまあ役に立ったようなのですが、分布をみるとうまく使えなかった学生もいるようです。

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詳細化アウトラインが「とても役に立った」「まあまあ役に立った」と回答した役立ち度高群(119人)は自由記述で以下の4点を高く評価していました。

A)内容の検討のしやすさ
B)論理関係のわかりやすさ
C)問題箇所の見つけやすさ
D)スムーズな執筆プロセス

一方、「まったく役に立たなかった」「あまり役に立たなかった」「どちらともいえない」「未使用」と回答した役立ち度低群(80人)は、詳細化アウトラインについて以下の3点を挙げていました。

A)難しさ
B)操作の不慣れ
C)必要性の欠如

どうやら詳細化アウトラインに慣れるための練習が必要なようです。今後の課題として、以下の2点を検討しています。

  • 最初に全員共通の小課題(400字程度)を使って, 詳細化アウトラインの使い方を練習する
  • 詳細化アウトラインによる,さまざまな例文を作成し,留意点を解説する